ETIASとEES:EUの外部国境強化で旅行者が知っておくべきこと
ETIASとEES:EUの外部国境強化で旅行者が知っておくべきこと
EUと加盟国は、欧州の安全を確保しつつ外部国境管理を強化するため、具体的な施策を進めています。旅行者にとって特に重要なのは、**入出国システム(EES)と欧州渡航情報・認証システム(ETIAS)**といったデジタル施策です。これらは、国境審査や治安対策で利用されるEU共通のデータベースによって支えられます。
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なぜ外部国境を強化するのか
シェンゲン圏では、原則として域内の国境検査が日常的には行われません。そのため、外部国境での一貫した審査と、迅速で確実な情報共有が、安全と円滑な移動の両立に欠かせません。
EES:非EU渡航者向けのデジタル国境管理
EESを設立する規則は2017年11月に採択されました。
EESは、シェンゲン圏の外部国境を越える非EU国籍者について、入国、出国、入国拒否に関する情報を登録します。
EESで期待される効果
理事会の概要によれば、EESは次の点に役立つとされています。
- 滞在可能期間を自動算出することで、審査の遅延を減らし、審査品質を向上
- 滞在超過者を体系的かつ確実に特定
- 捜査当局が渡航履歴記録にアクセスできるようにすることで、テロや重大犯罪対策を含む域内治安を強化
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段階的な導入
2025年5月、理事会と欧州議会は、加盟国がEESを6か月間で段階的に導入できるようにする暫定合意に達しました。
EESは加盟国がeu-LISAとともに構築し、欧州委員会およびFrontexと協力して進められます。
ETIAS:ビザ免除渡航者への事前チェック
ETIASを設立する規則は2018年9月に採択されました。
ETIASは、ビザ免除の渡航者に対して事前チェックを行い、必要に応じて渡航認証を拒否できる仕組みです。
ETIASの狙い
ETIASは次の目的を支援します。
- 域内治安の向上
- 不法移民の予防強化
- 公衆衛生上のリスクと国境での遅延の軽減
ETIASはeu-LISAが開発します。
開始時期
理事会のページでは、ETIASは2026年第4四半期に運用開始予定とされています。
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国境審査を支える主要データベース
デジタル国境管理は、複数のEU共通システムに支えられています。
SIS:シェンゲン情報システム
SISは、手配者・行方不明者や関連する物品に関するアラートを登録・照会できる仕組みで、シェンゲン域内の治安維持に役立ちます。システムには約8,650万件のアラートがあり、2022年には当局が1日あたり約3,500万回照会しました。
改良版SISは2023年3月に稼働し、アラートの新カテゴリに加えて、掌紋、指紋痕、行方不明者のDNA記録などの生体情報が含まれます。
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VIS:ビザ情報システム
VISは、シェンゲン圏への短期滞在ビザ手続きを支援し、ビザが必要な渡航者の確認に役立つデータベースです。2011年以降、生体情報の照合により、なりすましや不正を防ぐ仕組みが提供されています。
2021年5月、EUはVIS規則を更新し、短期ビザ手続きの安全性強化、長期ビザ・滞在許可の同一データベースへの統合、他システムとの相互運用性向上を進めました。
Frontexと第三国との協力
欧州国境沿岸警備庁(Frontex)は2016年10月に発足しました。外部国境の監視を行い、加盟国と協力して脅威を迅速に特定し対処します。
2019年11月に採択された規則によりFrontexの役割は強化され、常設部隊は2027年までに1万人を目標としています。
また、EUと相手国の間で地位協定が締結されている場合、Frontexは近隣国の領域での展開や共同作戦も行えます。
旅行者向けの要点
ビザ免除でシェンゲン圏へ渡航する場合、外部国境での手続きがよりデジタル化・標準化される方向に進みます。
- EESは非EU渡航者の入出国を記録
- ETIASは事前チェックを追加し、2026年第4四半期に開始予定
- SISやVISが、EU全体での安全・本人確認を支える
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